さようなら 厚生年金会館
この舞台を目指していた、あのころ
私たちの世代は、というよりも、多くの吹研の会員は、この厚生年金会館で行われる舞台を目指し、情熱を傾けていました。
そして開演。光り輝く舞台に驚き、あっという間に時間は過ぎ。
終演。達成感と、満足感と、なぜか涙。それは悔しさなのか、もう戻ることができない時間への寂しさなのか…。
卒会し、年に一回感じる、この舞台の威容。後輩たちの熱い想い。
もう二度と、この舞台でそれを感じることはありません。
この舞台がなくなってしまうなど、誰が予想しえたでしょうか。
2010年3月31日。前日に最後の公演を終え、翌日の閉館を前に、ホールの関係者の方々を囲んで小さなお別れ会が開かれました。
吹研監督の御配慮でお供させていただくことができ、最後の勇姿をこの胸に刻んできました。
この舞台を目指していた、あのころ。それはまぎれもなく、青春とよべる日々でした。
お別れの会、最後の威容
もう光らない、入口にあった公演の案内表示。
舞台の上に、席が用意されていました。
実際には、ホールの方に用意していただいて、「囲ませていただく」会というほうが正しいのかも知れません。
厚生年金会館の歴史をまとめた映像を映すためにホリがセッティングされていました。
会が始まるに当たり、ホリを上へ逃がします。
最後の、起動。もう、この操作盤を操作することはありません。
「動かすよー!」
お別れの会は、このような形でした。
厚生の舞台で、お酒をいただく。あのころには考えられなかったような席。しかしそれも、最後だからこそなのかと思うと、胸がつまります。
この輝く舞台。なくなってしまうのか…。
舞台から下へ降りて、懐かしい場所へ。
慌ただしく、でも緊張しながら行き来した、控室通路。
私服から正装へ、コスへ。
早着替えを実践する場所。控室。
1階にある控室から、3階にある舞台袖へ続く階段。
のぼる時は、緊張と、期待と。
くだる時は、達成感と、涙と。
…でも、もう誰も通ることはない。通ることはできない。
フロンパには忘れられない、花道。
この場所で、舞台を動くメンツと、向こうの花道のメジャーとを横目で見ながら。
僭越ながら、敬礼。
メジャーではないけれど、みんながやりたかった、厚生の舞台での敬礼。
吹研で一番最後に。厚生の一番最後に。
そしてこれが、最後の厚生年金会館の威容。
さようなら、そして、ありがとうございました…。
redaction :2010.04.18 , 2011.02.18
2009.06.18 by Hiro Ishiwatari % "suiken@net"